© Bertrand Duquenne
INTRODUCTION
ラグーンの先にある、もうひとつのフレンチポリネシア
夜明け前、谷の稜線に霧がかかる。海からせり上がる断崖の影が、まだ眠る集落を包んでいる。
タヒチ旅行というと、ボラボラ島の水上バンガローや、モーレア島の穏やかなラグーンを思い浮かべる方が多いかもしれません。
そこから北東へおよそ1,500km。海から直接立ち上がる山々、深い谷、切り立った断崖――ソシエテ諸島の風景とは一線を画す、もうひとつのフレンチポリネシアがあります。
12の島々からなる群島のうち、人が暮らしているのは6島。ヌクヒバ、ヒバオアをはじめ、それぞれの島に異なる地形や暮らし、文化があります。
2024年には「Te Henua Enata – The Marquesas Islands」としてユネスコ世界遺産にも登録されました。自然環境とポリネシア文化の双方に価値を持つ複合遺産です。
海辺のリゾートに滞在するだけではなく、山や谷へ入り、村を訪ね、遺跡や現在の文化に触れる。
マルケサスは、フレンチポリネシアをもう少し深く知りたいときに訪れてみたい島々です。
DISCOVER
マルケサスで出会うもの
© Grégoire Le Bacon
海から立ち上がる山々
マルケサスを印象づけるのは、海と山の近さです。
険しい稜線や深い谷、断崖に囲まれた湾など、島を移動するたびに景色が変わります。
ラグーンを中心に過ごす旅とは異なり、車や徒歩、ボートで島の地形そのものをたどっていくことが、そのままこの土地を知る時間になります。
© Grégoire Le Bacon
島々に残る遺跡
マルケサスの島々には、かつて人々が暮らし、集まり、祭祀を行っていた場所の痕跡が残されています。
石造遺構やティキなどを、その土地を歩きながら見ることで、美しい自然の中に人々の長い営みが重なっていることが見えてきます。
© Grégoire Le Bacon
今も続くポリネシア文化
彫刻やタパ、タトゥー、踊りや音楽など、マルケサスでは現在も独自の文化が受け継がれています。
遺跡を見るだけではなく、現在の村や人々の暮らしにも触れることで、文化が過去だけのものではないことを感じられます。
© Sylvain Lefevre
島ごとに変わる風景
深い緑に覆われた島もあれば、乾いた丘陵が広がる島、空へ突き出す岩峰が印象的な島もあります。
ひとつの群島でありながら、島を変えるたびに地形も暮らしも少しずつ変わる。
その違いをたどることも、マルケサスを巡る魅力です。
ISLANDS
どの島を訪れる?
© Tahiti Tourisme
ヌクヒバ島
まず訪れたい、マルケサス最大の島
ヌクヒバはマルケサス諸島最大の島で、中心となるタイオハエは大きな湾に面しています。
島の内側へ向かうと、険しい山々と深い谷が続き、ハティヘウなどではティキや石造の基壇、岩刻画などの考古学的な遺構にも触れることができます。
タイオハエの集落、谷や遺跡、山岳風景など、マルケサスの自然と文化の両方に触れやすく、初めてのマルケサスで旅の中心に据えやすい島です。
© Tahiti Tourisme
ヒバオア島
文化と歴史をたどる島
ヒバオアは、豊かな緑と険しい地形の中に、マルケサスを代表する考古学的な遺跡が残る島です。
プアマウには大型のティキで知られるリポナ遺跡があり、タアオアの谷にも広大な考古学的遺構が残されています。
中心となるアトゥオナは、画家ポール・ゴーギャンと歌手ジャック・ブレルが人生の終盤を過ごした場所でもあります。
二人の足跡を入口にしながら、そのはるか以前から続いてきたマルケサスの歴史へ目を向けたい島です。
© Bertrand Duquenne
ウアポウ島
空へ伸びる岩峰の島
ウアポウを特徴づけるのは、島の中央部から空へ突き出すような独特の岩峰です。
ヌクヒバやヒバオアとはまた違う地形を持ち、集落や工芸などにも触れながら、マルケサスの島ごとの違いを感じることができます。
© Grégoire Le Bacon
ウアフカ島
乾いた大地と馬のいる風景
ウアフカは、マルケサスの中でも比較的乾燥した景観が見られる島です。
丘陵や高原、馬のいる風景が広がり、深い緑をイメージしがちなマルケサスの中では、少し意外な表情を見せます。
考古学的な遺構や植物園などもあり、この島ならではの自然と暮らしに触れることができます。
© Bertrand Duquenne
タフアタ島・ファツヒバ島
さらに小さな島へ
ヒバオアの近くにあるタフアタでは、彫刻などの工芸文化が受け継がれています。
さらに南に位置するファツヒバは、山と深い谷に囲まれた、よりアクセスに時間のかかる島です。
一度の旅ですべてを巡るというより、ヌクヒバやヒバオアを中心に、旅の日数や交通に合わせて組み合わせるのが現実的です。
HOW TO TRAVEL
マルケサスへの旅は、どう組み立てる?
飛行機で島に滞在する
日本からまずタヒチ島へ入り、パペーテからマルケサス諸島へ国内線で向かいます。
ヌクヒバやヒバオアへ航空便があり、ヌクヒバとヒバオアの間も空路で移動できます。
島間の便数や運航日は限られるため、一般的なタヒチ旅行以上に、先に移動手段を確認して旅程を組み立てることが重要です。
船で群島を巡る
もうひとつの方法が、船でマルケサスをたどる旅です。
貨客船「Aranui」は、タヒチからマルケサス諸島へ生活物資を運びながら、旅行者を乗せて複数の島を巡ります。
ホテルを拠点にひとつの島を深く見る旅とは対照的に、海から群島をたどりながら、複数の島の違いを見ていく旅です。
© Lionel Gouverneur
LENGTH OF STAY
何日くらいあると楽しめる?
マルケサスでは、たくさんの島を巡ることよりも、ひとつの島で谷や村、遺跡まで見る時間を残すことをおすすめします。
SEASON
マルケサスを訪れる季節
マルケサス諸島は年間を通して温暖で、気温の季節差は比較的小さい地域です。
一方、雨の降り方や季節の傾向は、フレンチポリネシアのほかの群島とは少し異なり、9〜12月頃は比較的雨が少なく、島を巡りやすい時期とされています。
複数の島を巡る場合は、気候だけでなく、島間の航空便や船の運航日も踏まえて旅程を組み立てておきたいところです。
STAY
マルケサスでは、どこに泊まる?
マルケサスでは、ボラボラのように大型リゾートを目的に宿を選ぶ旅とは少し異なります。
ヌクヒバやヒバオアをはじめ、各島にはホテルやペンション、ゲストハウスなどがあり、島を巡るための拠点として利用できます。
どの宿に泊まりたいかというより、
どの谷へ行きたいか。
どの遺跡を見たいか。
どの島で何日過ごしたいか。
そこから宿泊場所を考える方が、マルケサスの旅には合っています。
FIRST JOURNEY
初めてのマルケサスなら
マルケサス+ラグーンを楽しむ旅
前半は山や谷、遺跡、村を巡り、後半はラグーンのある島へ。
同じフレンチポリネシアの中で、大きく異なる二つの風景を組み合わせる旅です。
TRAVEL TIPS
旅を考えるときに知っておきたいこと
島間移動を先に確認する
島間の航空便は、毎日同じスケジュールで運航されているわけではありません。
ホテルを決める前に、まず島間の移動日を確認すると旅程を組み立てやすくなります。
空港からの移動も確認する
マルケサスでは、空港と中心集落が離れている島があります。
宿泊施設を予約する際には、空港送迎についてもあわせて確認しておくと安心です。
島内観光はガイド利用も選択肢に
山や谷へ向かう道路には、急勾配や未舗装の区間もあります。
考古学的な遺跡や村を訪れる場合は、現地ガイドや車を利用すると巡りやすくなります。
小さな島では現金も用意する
クレジットカードを利用できない施設もあります。
小さな島へ足を延ばす場合は、必要な現金もあらかじめ用意しておくとよいでしょう。
STYLE MAGAZINE
海と山のあいだ|マルケサス諸島を旅する
海から立ち上がる山々、谷に残る遺跡、今も続く文化。
マルケサスの風景と、そこに重なる時間をStyle Magazineで紹介しています。
